プーシャン家の日常

つぼマニア兼脉オタクと、医学史中心中国学マニアの生活感なさすぎな日々

古医書おぼえがき4 夫医術の根源は

2015.07.16 14:44:01

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夫医術の根源は人身平素の形体、内外の機会(ようす)の精細に知り究るを以て、此道の大要となすとかの国に立れはなり。〔杉田玄白『形影夜話』〕

これは6月27日に立川の国文学研究資料館において行われた研究会の補遺である。研究会そのものについては、同28日の記事にすでに記してある。
 
席上行なわれた清水信子氏の備前・備中・讃岐の医家に所蔵された医書に関する報告に対し、備前の中島家の所蔵書に徂徠のそれが多かったことを、日本女子大学・福田安典氏が指摘した。

後日、もと東北大学におられた佐藤昌介氏に、玄白と徂徠の関連を記した論文があったことが確認された。徂徠学を奉じた藩の出身であり、当該論文執筆者が母校の教授であった自分が気づかなければならないことであった。そこで、これを機に、佐藤論文の簡単な記録をとり、著書の目次を記しておくこととした。

佐藤論文が正しいかというと、当時の徂徠学のあり方や医学のあり方、徂徠と医学の関連など、前提として考慮すべきことが多くあるうえに、それまでの日本伝統医学史のとらえ方にいくらか首をかしげたくなるところがないわけではない。だが、『形影夜話』に記された玄白の独白を指摘したところは、やはり不動の評価をしてしかるべきであろうと思われる。〔文責・きか〕

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